和室にも洋室にも合う、ユニークな和紙製の掛時計が誕生した。時刻を示す文字盤の数字は、印刷で数字や線が記されているのではなく、なんと糸で表現されている。その名も「和綴じクロック」は、色紙や短冊、和本帖メーカーの尚雅堂が開発した商品だ。京都で生産される貴重な手漉き和紙「黒谷和紙」の揉み紙を全面に張り、そこに伝統的な和綴じを施した。ムーブメントはリズム時計工業に依頼。ナチュラルな色合いの和紙に同色の糸を組み合わせたデザインは、目立ちはしないが、だからこそインテリアに馴染む。
　そもそも色紙や短冊、和本帖は、和歌や書などをたしなむ人にしか馴染みのない商品のため、同社は2003年頃からオリジナル和文具を展開し使い手を広げてきた。「時計は企画したことのない分野だったため、挑戦しがいがあった」と代表取締役の松尾安浩は言う。精密機械ゆえに開発は一筋縄にはいかなかったが、苦労の甲斐あり、規存商品にはない時計が完成した。