宇野商店は、歌舞伎や文楽などの舞台衣裳を製作している会社だ。一方で「多くの人々に伝統芸能に興味を持ってもらいたい」という代表取締役の宇野滋記の思いから、数年前より一般市場に向けた商品開発を行っている。
　今年、開発したのは伝統文様の１つ「雲取り」をアレンジした、カモフラージュ柄のポーチだ。カモフラージュ柄の中に、歌舞伎の衣裳によく用いられる亀、蛸、海老の文様を小さく取り入れてアクセントとした。亀は歌舞伎の演目「三番叟」でよく用いられる文様で、海老は花魁の豪華なまな板帯に刺繍されることの多い文様である。
　ポリエステル系繊維「テトロン」にプリントし、バッグインバッグに活用できる立体的なポーチを製作した。
　これに先立ち、昨年は歌舞伎の演目「勧進帳」に登場する武蔵坊弁慶の衣裳に使われる「弁慶格子」を帆布にプリントして、デニムと組み合わせたバッグを開発した。現代の歌舞伎者らしさを大切にしたものづくりをしている。