ツヤツヤの鏡面でもなく、白っぽくもなく、独特の柔らかい光沢を放つ「Hana Kasumi」。これはアルミニウムの塊から削り出しのみで製作した一輪挿し・お香立てだ。名前のとおり、霞のような抽象的な形をしていて、見る者の心を和ませる。天面には穴が1つ空いており、そこに道端で摘んできた野花を生けたり、スティックタイプのお香を立てて香りを楽しんだりできる。どちらの用途にも使これを製作したのは、金属加工会社の速水製作所である。同社は検査機器や医療機器、半導体製造装置など産業機械の精密部品の切削を専門としている。金属の中でも難削材と言われるステンレスに特化して技術力を高めてきた。その蓄積を生かし、暮らしの道具の開発に初めて挑んだ。「アルミニウムでも切削の仕方でこんなに美しく輝けることを知ってほしい」と同社営業の速水百合子は言う。玄関や食卓などに置いて愛でてみたいアイテムだ。