「挑戦するなら、一歩先に進んだことをやりたい」。こう語る、京都絞美京三代目の松岡輝一が開発した独自技術「デジタル３D絞」が、京鹿の子絞の世界に新しい風を吹かせた。

　デジタル３D絞は、板締め絞染に用いる型をコンピューターの３Dソフトでデザインし、３Dプリンターで出力した技術である。デジタルならではの強みを生かし、人の手ではつくれない複雑な形状の型を生み出すことで、柔らかな立体感を持つ新しい風合いの京鹿の子絞を完成させた。

　この新しい風合いの京鹿の子絞を松岡は「わっふる」と命名し、現在、様々な文様を展開している。今回、開発したのは有機的な楕円形を用いた「うろこぐも」と「ひつじぐも」の文様で、これらをストールに仕上げた。うろこぐものストールには両端に雲が連なり、ひつじぐものストールには全体に雲が斜めに連なっている。秋空の下のみならず、ファッションアイテムとして年中、身に付けたいストールだ。