「現代の暮らしの中に象嵌商品を取り入れたい。それが京象嵌を再興させるきっかけになれば」と、アミタ エムシーエフの網田奈央は思いを語る。同社は1932年に京象嵌の販売会社として創業し、徐々に事業を広げ、現在は社章やメダル、ベルトバックルなどの金属加工を幅広く行っている。京象嵌に思いが向くのは、それが創業時のアイデンティティーであるからだ。
　「初鏡」は同社の技術の粋を集めた生活雑貨ブランドである。ペンスタンド、一輪挿し、ブックエンド、ペーパーウエイト、プランターカバーの５点すべてが円柱か半円柱の造形となっており、その底面か側面にはつばが付属されている。象嵌を取り入れたのは、このつばの部分だ。アールデコ調の幾何学模様をつば全面もしくは部分的に象嵌し、それを本体の曲面に映り込ませるようにした。本体は真鍮の鏡面仕上げのため象嵌をきれいに映し出す。暮らしに上質な調度品を求めたい人に向けてこれを提案する。